アクセス解析入門

AI Overviewsの計測|何が測れて、何が測れないか

「自社のページが、GoogleのAI要約(AI Overviews)に引用されているのか」——調べようとして、最初に手が止まるところです。サーチコンソールを開いてもそれらしい項目は見当たらず、検索してみると計測ツールの紹介記事ばかりが並びます。

この記事では、順番を逆にします。まず無料で何が分かるのかを全部書き、次に、どれだけ手を尽くしても原理的に分からないことを書きます。そのうえで、手動で確認する手順と、ツールを使う場合の類型を整理します。ツールが必要かどうかは、それを読んでから判断すれば十分です。

AI Overviewsの計測で、まず押さえる3つの事実

細かい手順に入る前に、結論を先に置きます。

  • サーチコンソールの数字には、AI要約経由の表示・クリックがすでに含まれている(無料・設定不要)
  • ただし、その中からAI要約分だけを取り出すことはできない(フィルタが提供されていない)
  • 「どのキーワードでAI要約が出たか」「そこに自社が引用されたか」は、検索結果を見に行かないと分からない

つまり「量」は無料で見えていて、「どこで引用されたか」だけが見えていない、というのが現在地です。

サーチコンソールで分かること(無料でできる範囲)

まず、無料でできることを具体的に挙げます。ここを飛ばして「サーチコンソールでは分からない」と書く記事が多いのですが、実際にはかなりのことが分かります。

Googleは検索セントラルのドキュメントAI 機能とウェブサイトで、AI Overviews内のリンクについて、表示回数・クリック・掲載順位を検索パフォーマンスレポートに含めると説明しています。つまり、次のような数字は追加費用ゼロで手元にあります。

見られるものどこで補足
表示回数(インプレッション)検索パフォーマンス → クエリ/ページAI要約経由の表示も合算で含まれる
クリック数・CTR同上同上
平均掲載順位同上同上
クエリ別・ページ別の内訳クエリ/ページタブどの語で見られているかは分かる
期間比較(前月比・前年比)日付フィルタの比較変化の把握はここで足りる

サーチコンソールの基本的な操作はサーチコンソールの使い方で解説しています。画面のどこを見て、どこまで測れるのかという踏み込んだ手順はAI Overviewsはサーチコンソールでどこまで測れるかにまとめました。

ポイント

「AI要約のせいでクリックが減ったかもしれない」を確かめたいだけなら、サーチコンソールの期間比較で足ります。表示回数が横ばいなのにクリックだけ落ちている、といった形の変化はここで見えます。

原理的に分からないこと

そのうえで、無料でも有料でも、サーチコンソールというツールの構造上どうしても分からないことがあります。

1つめは、AI要約分だけを取り出せないこと。検索パフォーマンスには「検索での見え方」という区分がありますが、そこにAI Overviews専用の項目は用意されていません。フィルタも提供されていません。数字の中に混ざっていることは分かっても、そのうちどれだけがAI要約経由かは分離できません。

2つめは、どのキーワードでAI要約が出たかが分からないこと。表示回数が付いているクエリを見ても、そのクエリの検索結果にAI要約が出ていたのか、通常の10件だけだったのかは、レポートからは判別できません。

3つめは、自社が引用元として並んだかどうかが分からないこと。AI要約に引用されて表示回数が計上されたのか、その下の通常の検索結果として表示されたのかは、区別されずに合算されます。

なお、ここで扱っているのはGoogleの検索結果に出るAI要約の話です。ChatGPTやPerplexityといった文章型AIから届く流入は別の話で、そちらはGA4の参照元で見分けられます。手順はGA4でAIからの流入を見分けるで解説しています。

この3つは設定や上位プランで解決するものではなく、レポートの仕様としてそうなっています。有料ツールが存在するのは、まさにここを検索結果の側から見に行くためです。

手動で確認する手順(ツールなし・無料)

「自社が引用されているか」を確かめる方法は、実はいちばん素朴なやり方が今も確実です。対象のキーワードを実際に検索して、目で見る。以下の手順で、条件をそろえて繰り返します。

  1. 観測するキーワードを決める(まずは5〜10語。売上に近い語、すでに順位が付いている語から選ぶと変化を読み取りやすい)
  2. 条件を固定する——地域・言語・デバイス・ログイン状態をそろえます。ログイン状態や検索履歴で結果が変わるため、シークレットウィンドウを使い、毎回同じ環境で行うのが基本です
  3. 検索して、AI要約が出るかを確認する(出ない語も「出なかった」と記録します。これが後で効きます)
  4. AI要約の引用元リンクを開いて、自社ドメインがあるかを見る
  5. スプレッドシートに記録する——日付/キーワード/AI要約の有無/自社引用の有無、の4列で十分です
  6. 頻度を決めて繰り返す(週1回など。曜日と時間帯もそろえます)

注意

1回の結果で判断しないでください。同じキーワードでも、AI要約が出たり出なかったり、引用元の顔ぶれが変わったりします。判断材料になるのは1回のスクリーンショットではなく、同じ条件で積み上げた記録のほうです。

10語を週1回なら、慣れれば15分ほどの作業です。キーワードが少ないうちは、この手動記録がもっとも正確で、費用もかかりません。手が回らなくなるのは、語数が増えたときと、記録を続けられなくなったときです。

ツール類型の比較

手作業が続かなくなってから、はじめてツールの検討に入ります。選択肢は大きく4つに分かれます。

類型何をするか分かること費用の目安向いている状況
手動確認自分で検索して記録AI要約の有無・自社引用の有無無料(時間はかかる)対象キーワードが数語〜10語程度
サーチコンソール検索パフォーマンスを見る表示・クリック・順位(AI要約分は合算)無料全サイト(前提として必須)
専用の観測ツールキーワード単位で定点観測を代行AI要約の出現状況・引用元有料(月額)語数が増えて手作業が続かない
自作(SERP API+スクリプト)自分で取得して蓄積設計しだいAPI実費+開発・保守の手間社内に開発リソースがある

私たちが運営する週報AIも、この表でいえば「専用の観測ツール」の一つです。GA4とサーチコンソールの数字とあわせて、AI Overviewsでの引用状況を週次で観測し、レポートに含めます。計測の対象はGoogleのAI要約(AI Overviews)のみで、ChatGPTやPerplexityなどの文章型AIでの引用は対象に含みません。

どの類型を選ぶかは、機能の多さではなく対象キーワードの数と、記録を続けられるかで決まります。10語を手動で回せているなら、それを続けるのがいちばん安上がりです。ツールを比較する視点そのものは、アクセス解析ツールの比較・選び方で整理した4つの観点がそのまま使えます。

観測を始めるときの決めごと

最後に、始める前に決めておくと後で困らない点を挙げます。

  • キーワードの一覧を先に固定する——途中で対象を足すと、前の期間と比べられなくなります。足すときは「いつ足したか」を記録します
  • 記録の粒度をそろえる——「出た/出ない」「引用された/されない」の2値で十分です。細かくするほど続きません
  • 見る指標を決める——観測しているキーワードのうちAI要約が出た割合、そのうち自社が引用された数。この2つから始めます
  • サーチコンソールの数字と並べて置く——表示回数・クリックの推移と横に並べておくと、後から見返したときに読み取れる情報が増えます

なお、観測はあくまで「いま何が起きているかを記録すること」です。記録が増えても、それだけで引用されるようになるわけではありません。まずは現状を数字にするところまでを目的にしてください。アクセス解析全体の考え方はアクセス解析とは?何を見て、どう改善するかにまとめています。

まとめ

AI Overviewsの計測は、「無料で分かること」と「原理的に分からないこと」を分けて考えると迷いません。

サーチコンソールには、AI要約経由の表示・クリックがすでに含まれています。ただしAI要約分だけを取り出すフィルタはなく、どのキーワードでAI要約が出たか、自社が引用元に並んだかは、検索結果を見に行かないと分かりません。そこは、対象キーワードが少ないうちは手動の記録で十分にカバーできます。

ツールを検討するのは、語数が増えて手作業が続かなくなってからで遅くありません。まずは5〜10語、週1回、同じ条件で記録を始めるところからです。

よくある質問

AI Overviewsの計測は無料でできますか?

できます。サーチコンソールは無料で、AI Overviews経由の表示回数やクリックも検索パフォーマンスの数字に含まれています。また、対象のキーワードを実際に検索して引用元を目で確認する方法も無料です。キーワードが数個から数十個のうちは、この2つで足ります。有料ツールが必要になるのは、対象キーワードが増えて手作業が続かなくなってからです。

サーチコンソールでAI Overviewsだけを絞り込めますか?

絞り込めません。Googleは、AI Overviews内のリンクの表示回数やクリックを検索パフォーマンスレポートに含めると説明していますが、AI Overviews分だけを取り出すフィルタや検索での見え方の区分は提供されていません。したがって、数字の中に混ざっていることは分かっても、どれがAI Overviews由来かは分離できません。

自社が引用されているかは、どうすれば分かりますか?

現時点で確実なのは、対象のキーワードを実際に検索して、AI要約の引用元リンクに自社ドメインがあるかを目で確認する方法です。条件(地域・言語・デバイス・ログイン状態)をそろえて、同じ手順で繰り返すことが大切です。手順は本文の「手動で確認する手順」で説明しています。

AI Overviewsが表示されるかどうかは毎回同じですか?

同じとは限りません。AI要約が出るかどうか、引用元として何が並ぶかは、同じキーワードでも時期や条件によって変わることがあります。1回見て終わりにせず、日付とキーワードを記録しながら定点で観測すると、変化に気づけます。

ChatGPTやPerplexityでの引用も同じ方法で測れますか?

測れません。この記事で扱っているのはGoogleの検索結果に出るAI要約(AI Overviews)だけです。ChatGPTやPerplexityなどの文章型AIは、それぞれ別の仕組みで動いており、確認方法も別になります。同じ「AIに引用されているか」でも、対象が違う点に注意してください。

サイトの数字を見るのをやめて、AIに読ませませんか?

この記事の運営者が開発した「週報AI」は、GA4・サーチコンソール・Clarityのデータを毎週AIが分析し、"次にやること"まで日本語レポートで届けるサービスです。

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